異世界転生「不良」
只今裏路地にて少年を観察中です。
18歳くらいの高校生です。
髪を染めてピアスしてバットを持ってます。
バットですバット。
野球で使うバットです。
不良ですね、ここまで不良らしい不良は中々いないのではないでしょうか。
こういう人物は得てして弱い立場の人間を虐める方が多いようですが彼はどうでしょうか?
っと女性がきました。
制服を着てますから同じ学校の生徒でしょうか。
言い争いを始めました。
痴話喧嘩もこれで最後ですから楽しんで下さい。
………ちょっと……ちょっとだけ気になるので少し聞いてみましょう。
「たっくん!こんな所でなにやってるの!」
「ああ!?」
「家にも帰らない、学校にもこない!毎日なにやってるの!?」
「んだりえ…てめえ俺に説教か!?……っすぞ!ああ!?」
「大声出せば怯むとでも!」
「っだらあ!!!」
ガシャーン!
「きゃあっ!」
ああ、バケツさん!大丈夫ですか?
どうやら彼等は幼馴染というもののようです。
少年は見た目通り素行が悪いようです。
「てめえ、いちいちうるせえな。」
「ぼ、暴力なんか!」
「っろす!!!」
あ、腹パン入りました!うずくまりそうな所に蹴りです!から~のバット!
一連の動きが流れるようですね、確実に慣れてます。
あ、パンツ見えてます。お嬢さ~んパンツ見えてますよ~。
赤のレースですね、なかなかセクシーです。
あれ、少年がニヤニヤしはじめました。
まさかのまさか?
「ちょうどいい、溜まってたんだ。」
そうですか私はストレスが溜まってきてます。
「へへっ、使ってやるよ!」
「う…あ…な…」
ああ、もうこの少年は駄目です。
痛みで動けない少女によくも欲情できるものですね。
というか出番ですね。
ハイビーーーーム!!!
ピカァッッ!
「な、なんだ!?なんでトラック!?」
動揺してます。当然でしょう。ここは裏路地、私トラックが入れる筈がありません。
ええ、めり込んでます。
壁に。
これも神様からもらった力の一つ物質透過。
設定したもの以外をすり抜けて周りに被害を出さずにターゲットをドン出来ます。
便利ですよね。
ですが彼にここで交尾されると少女までドンしてしまいますのでとりあえず威嚇しましょう。
「ちっ」
あ、行動が早い。
即座に逃げました。
決断力と行動力はあるようです。
少女は……泣いてますがアフターケアは私の範疇外です。
彼を追いましょう。
ふふふ、世の中にはこんな言葉があります。
知ってますか?
「転生トラックからは逃げられない」
大分逃げましたね。
夜の裏路地。
雨も少し降ってきました。
逃げ道は無し。
転生するにはもってこいです。
さあ、下衆な少年、転生のお時間です。
あ、いや流行りに乗りましょう。
転生ターーーイム!
行きま~~す。
「なんなんだこのトラッ…ぶべぁ」
ふう、お仕事終了です。
しかしなんでこんな人物を転生させるんでしょう?
神様の考えていることはよくわかりませんが、向こうで録な事にはならないような気がします。
ま、自業自得でしょう。
気を取り直して次のお仕事いきましょうか。