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M-117 色々と買い込んでおこう


 10日間の農場暮らしを終えて、陸港を目指す。

 朝食を終えると、イゾルデさんとシエラさんが俺達をハグして別れを惜しんでくれた。


「また来てくださいね」

「はい。でも次はこんな騒ぎが起きなければ良いですね」


 笑みを浮かべて頷いてくれた。噂話の良いネタだったようだけど、少しは収まったようだな。

 ソフィーもハグしてくれたし、レイバンは力強く握手をしてくれた。

 やってきた馬車に乗り込んで、4人の見送りを受けて通りを進む。


「本当に色々あったわね」

「良い土産話ができたじゃないか。でも、皆に大笑いされそうだけどね」


「それよ! こっちから話さない方が良いんじゃなかな」


 既に騎士団の連中には知らされているんじゃないかな?

 軍が動いたんだからね。


「出発は、明後日なんでしょう? 明日は買い物になりそうね」

「順調ならリバイアサンの先遣隊が一緒になるはずだ。隠匿空間ではなく、その前にリバイアサンに乗り込むことになるよ。そのつもりで買い物をした方が良いと思うな」


 嗜好品に日用品だろうな。

 フライヤ達のことだ。たっぷりと買い込んでくるんじゃないか。


 何事も無く陸港のホテルに到着する。

 カウンターに荷物を預けて部屋の予約をしたところで、少年達を呼んで部屋の番号とトランクを渡す。銀貨1枚を渡したところで、近くのレストランで夕食を取りに出掛ける。


「あら! リオ達じゃない。こっち、こっち!」

 

 通りの向こうからやってきたのはアレク達だ。サンドラが俺達に手を振っている。

 ちょっとフレイヤの顔は曇り気味だ。

 さすがに、今日会うとは思わなかったんだろう。


「夕食ですか?」

「明後日からは艦内食だからなぁ。たっぷりとクロネル部長には魚を届けたから、今夜は肉をたっぷりだ」


 アレクの魚嫌いは治らないのかな?

 アレク達に率いられて、向かった先はステーキハウスのようだ。


 案内された席に着くと、直ぐにビールを注文する。

 艦内ではビールを飲むことがない。アルコールの量が少ないからだろう。それに場所を取るのも問題のようだ。


「「乾杯!」」


 ゴクゴクと喉を鳴らして飲む。

 息をつかずに飲んだところで、プハァ~! と息を吐くのは皆同じようだ。

 エミーは初めてのようだけど、直ぐに気に入ったようだ。


「ところで、おもしろい話を聞いたんだが……」

 

 アレクの言葉に、俺達の顔が少しずつ下を向く。


「御迷惑をお掛けして申し訳ありません」

「ハハハ……。いやそうじゃない。しかし、本当に機動艦隊があの農場を囲んだんだな。俺も行けば良かったよ」


 やはり良いネタになってしまった。

 フレイヤが顔を赤くしながらアレクに文句を言ってるけど、さすが長兄だけのことはある。フレイヤの嫌味を軽く聞き流しているようだ。


「ほらほら、料理がやってきたぞ。怒っていたら美味しく頂けないだろう」

「兄さんのせいだからね!」


 プンプンしながらも運ばれてきた料理に目を輝かせている。


「どうやらクリス達の方も上手く行ったようだ。ガリナム傭兵団はめでたくガリナム騎士団となったようだな。ヴィオラ騎士団からカリオンが移動する。若い騎士を指導できるから、カリオンも筆頭騎士だ。給与が上がるだろう」

「次の狩りは共同で行うことになるんですよね


「ヴィオラ騎士団の元での同盟ということだから、今までとさほど変わらない。たまにガリナムの狩りを手伝ってやれよ」


 アレクとしても、支払いが心配なんだろうな。


「リバイアサンの調度も揃えないといけませんからね。今まで通り山分けで行きます」

「俺達の旗艦だからなぁ。早めに動かしたいところだ」


 フレイヤ達がデザートを頼んでいるけど、俺とアレクは2皿目のステーキを注文する。

 ビールは3杯目だが、まだまだお腹に入りそうなんだよなぁ……。


「次は驕るんだぞ!」と言いながら、俺達の食費も払ってくれた。

 明日はワインを2ダースほど別に買い込んでおくか。


 アレク達は次の店に出掛けたけど、俺達はホテルに戻る。

 彼の真似だけはできない。できたとしても翌日は1日中、ベッドから出られないだろう。


 カウンターでカギを受け取り、スイートルームへと向かう。

 部屋へ着いた途端。2人に連れられてジャグジーへと向かうことになった。


「やはり大きなジャグジーは良いわね」

「リバイアサンはこれの10倍はるんじゃないか?」


「あれはジャグジーじゃなくてプールよ。あんな大きなものを作るのが理解できないわ」

「限度はありますよねぇ」


 どう考えても経済的じゃないんだけど、今更小さなジャグジーをあの中に入れるのもおかしいしね。

 泳ぐには少し小さいんだが、別に泳いでも問題は無さそうだ。


 ジャグジーを出て、王都の夜景を眺めながら体を冷ます。

 今夜は長い夜になりそうだな。


 体の重さに目が覚めた。フレイヤが俺に体を預けたまま寝てしまったらしい。ゆっくりと胸の上からフレイヤを横にすると、ベッドを後にする。

 窓の外は朝焼け空だ。今日も熱くなりそうだな。

                 ・

                 ・

                 ・

 朝食後は買い物に出掛ける。最初に雑貨屋に向かい、カートと木箱を2つ買い込んだ。これにたっぷり買い込むつもりのようだな。

 日用品と嗜好品の筈なんだけど、化粧品店や洋服店にも立ち寄るんだよなぁ。

 その間に、本やタバコ、酒類を買い込んだ。

 あらかじめ装備ベルトに下げた腰のバッグの中にある魔法の袋を空にしておいたから、まだまだ入りそうだ。

 摘みになるような木の実も買い込んでおこう。


 夕食を済ませてホテルに帰った時刻は20時を過ぎていた。

 明日は、ヴィオラの士官室だから、少しはのんびりできるだろう。


「これでしばらく休暇は取れないでしょうね」

「リバイアサンの運用は軍も興味を持っているようです。事あれば招集が掛かりかねません」


 ドックの1つを提供することになったからな。

 西の3王国のハーネスト同盟がブラウ同盟に惨敗を喫しているから、しばらくは大きな戦にはならないんじゃないか? あまり無理を行ってくることは無いと思うんだけどねぇ。


「ロベル達が残ってくれたのがありがたい。先遣隊と言っても1個中隊規模だからね。一からリバイアサンの教育を行うのかと思うと、気が重くなってくるよ」

「商会も人数を増やすんでしょう。マイネさん達も部下を連れて来ると言ってたわよ」


 お掃除魔だからなぁ。自走車の荷台に掃除用具を乗せて走り回ってたからね。

 部下と言っても大勢ではないから、お掃除班を作るぐらいじゃないのか?


「マリアン達も手伝いを探すと言ってましたが、見つかるかどうか……」

「たぶん慕ってくれる後輩がいるんじゃないかな。だいじょうぶだと思うよ」


 心配なのは、彼等に支払う給与だ。

 早めにガリナム騎士団と狩りをしないと、リバイアサンを下りる人間が続出しかねない。

 とりあえず、200個ほどマリアンに預けて入るんだが、直ぐに無くなりそうで心配になってしまう。


 まあ、それは明日以降に悩めばいい。

 今夜は3人で楽しもう。


 翌朝。朝食を終えると荷物を押しながらヴィオラへと向かう。

 隣には真新しいガリナムが停泊している。その向こうに2隻の輸送船があるが、11つはリバイアサンへ乗船するための人員を運ぶのだろう。もう1つは運得空間向けかな?

 ヴィオラへ乗船するための移動タラップの傍でレイドラが乗船リストを持って俺達を待っていた。


「帰りも同じ士官室よ。荷物を置いたらリオは会議室に向かって頂戴」

「了解。俺も状況が聞きたかったんだ」


 先ずは士官室に向かう。

 荷物が多いから運ぶのが面倒だな。

 どうにか士官室の壁際に荷物を並べたところで、会議室に向かう。

 会議室で待っていたのは、ドミニクとクリス、それに見知らぬ男女3人だった。

 ドミニク達より年上に見えるけどどんな人なんだろう?


「聞いたわよ。農業区画の大騒ぎ。でも、結果的には大騒ぎで済んで良かったわ」

「今後注意します。それで、俺を呼んだのは?」


「退役軍人の先遣隊は、元巡洋艦と駆逐艦の乗員の有志210名よ。マーデスさんが率いてくれるわ。商会の出先機関となる売店と食堂は商会ギルドのバロンさんにジョアンさんが20人を連れて行くわ」


 先遣隊が揃ったのか。少しはリバイアサンを動かせそうだな。


「士官候補生を連れての戦であれだけの戦功を上げられるのですから、我等一同頑張るつもりですよ」

「到着後の翌日には食堂を開けるよう努力いたします。腕の良い調理人を集めましたからご期待ください」


「ありがとうございます。練習艦の元先任伍長と士官候補生……、いやすでに少尉ですね。15人がそのまま軍より出向してくれました。機器の操作は戸惑うことはあるでしょうが、慣れれば便利に使えるようです。指揮系統が上手く構築できるよう、彼等と合流したところで調整してください」


「食堂が3つあると聞きましたが?」

「プライベート区画にもう1つあります。俺達の専用ですから、俺達で何とかします。後の3つは、士官食堂が1つに兵員食堂が2つですね。せっかくですから、どんな場所かをここでお見せしましょう」


 ネコ族のお姉さんが運んでくれたコーヒーを飲みながらプロジェクターで概要を見せることにした。

 たまに質問が来るけど、俺にでも応えられる範囲だからアリスのお世話になることも無い。とはいえ、どんな質問が飛んできても、俺が答えられるようにこの場の状況を俺を通して見ているはずだ。


 30分ほどの上映だったが、終わった時も3人は何もない壁を見つめていた。

 かなり予想とは違ったのかな?


「驚きました。3千人以上が暮らせるとは、本当だったのですね。食堂の大きさも目を疑います。200人以上がテーブルに付けるほどの広さです」

「撃沈は不可能でしょうな。あの装甲板の厚さは常識を疑います」


「まだまだ分からない場所も多いんです。とりあえずは動かせるんですが、自在に動かせるかと言うと頷きかねるのが現状です」

「乗員はナルビクとエルトニアからもやってきます。それに乗客扱いでブラウ同盟の艦船をドックに入れることもできるのであれば工廟が丸ごとやってきそうです」


「商会の方は、足りなければどんどん送ると言ってました。その辺りの調整は私の一存で可能です。先ずは20人。状況に合わせて10人単位で増やす予定です」


「8日後が楽しみです」と言ってはくれたんだが、あまり大勢なのも問題だな。早めに金策を考えないといけないと、ここでも考えてしまった。


ついにストックが尽きました。

何とか今夜の更新は出来そうですが、明日の昼の更新は難しそうです。

明日以降は、何とか1話ずつの更新ができるように頑張るつもりです。

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