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第2話

内面描写。

主人公が動くのは次話から。

--------------------


さて、件の花田はなだ ゆきにあった日から、僕の日常は全て崩壊したといっていい。

一言でいえば、これは『病気』だ。


特にその症状として顕著なのが、睡眠障害である。

寝付こうにもどうにも寝られない日が続くのである。

目を閉じると、とにかく彼女の笑顔が浮かんでくる。

それを僕の心が嬉しいと感じ、鼓動を速める。

これの繰り返しである。


中にはこう考える御仁もおられるだろう。

問題があるなら解決すればいいじゃないか。

如何にもそうだ。

だが、最終的なゴールは見えども、それに対する行動などしたくてもできない。

できない理由はだいたいわかっている。

95%が内因性、つまり僕の理由であり、その大きな要素の一つは僕の消極性、言い換えれば『チキン』であるということだ。


兎にも角にも、おかげ様でこちとら目の下のクマがひどいことになってしまい、悪友には【恋するパンダ】などという巫山戯た呼び方をされる羽目になった。

その悪友には試験前のノートの貸し出しを行わない事で報復措置とすることにして、現時点で僕がしなければならないこと。それは一歩でもいいから前に進むことである。


とはいうものの、あの日からどんなに朝早く教室についたとしても、彼女が来ることはなかった。

来ても他の学生と同じように昼前登校なのだ。

1対1で話す機会などない。


あっという間に、1週間が過ぎてしまった。


僕の頭の中には、様々な方程式が渦巻いていた。

特に一番気にかかっているのは下の式だ。


可愛い×大学×春=彼氏存在率


これは、間違いなく正しい方程式であると考える。

だが、彼女に限ってはもはや正しくないのだろう。

求めるものが確率であるにもかかわらず、『可愛い』という変数が累関数的に大きくなり、彼氏存在率が無限大などという意味不明な値を取り出すのだ。(大学と春は定数項扱いである。)

確率は0から1までの値しか取らないため、矛盾が生じご破算となるので良かった・・・とはならず、僕の心はこの現時点の経過中にも彼女の彼氏の存在について意味もなく考えてしまうのだ。


これを聞いてお気づきの方もいるだろう。

お前はバカなのかと。

そう、バカなのだ。

ちなみに今気づいたことがある。

上記までに、「心」という単語を幾度となく示し、それが如何にも思考にとって重要であるかの如く描写しているのだが、そこまでは正しい。

しかし、正しくないのは、僕の「心」は彼女に盗まれてしまっているのであり、現在正常な機能を維持できていないことだ。

だからこそ、正しい思考ができずバカになっているのだ。


いけない。

本格的に参っているようだ。

どうにかして対策を立てなければ。


こちらの取りうる手段としては、緑色の『線』というやつのグループを手当たり次第に探し、彼女の名前を見つけること。もしくはSNSから探すこと。

いずれも大変にストーカーまがいの怪しい行為に思えるが、背に腹は代えられない。

現代社会は情報戦なのだ。

情報を得て、正しく分析をし、戦況を把握することが勝敗を決する。


まずは、これらを駆使して彼女の彼氏の存在の把握に努めなければならない。

そう考えた。


結果から言おう。

彼女の名前はどこにもなかった。

その理由は心優しい親友から寄せられた情報で判明するのだが、彼女はどうやらこのご時世なのにも関わらずスマートフォンを持っていないということだ。時代遅れにもガラケーなるものを使用し、専らの通信手段はメールと電話であるそうだ。


なんということだ。

これは僕にとっては大変貴重な情報である。

(情報源である親友には、後日丁重に返礼を行った。)

嬉しい反面、悲しいものでもある。

嬉しい理由としては、今時ガラケーなど使っている人はコミュニケーションに制限がかかるため、例えば彼氏の存在率に負の補正がかかると考えられることがあげられる。

逆に悲しい理由としては、連絡を取りたいと思っているのにもかかわらず、その方法に制限がかかり、ますますハードルが上がってしまったことがある。


何とこの世界は無常なのだろうか。

僕のような戦闘力皆無な人間が、圧倒的戦力有する『super-power』に果敢に挑もうというのに、その戦力差をさらに開くような状況をもたらすとは。


ここまでの要約をしよう。


僕は彼女とお近づきになりたい。

しかし連絡手段が限られている。

メールアドレスもしくは電話番号をgetしたい。

『チキン』のため直接会って話をすることには大変な労力を要する。


以上だ。


これに対し、悪友はひたすら笑い転げ、僕を訳のわからない言葉で揶揄した。

心優しい親友は、一つの解決法を提示してくれた。

その解決法とは、彼女の所属するサークルに入ってみること。

具体的には『救急サークル』なるものに入り、彼女との接点を持つことだ。

(何度も言うが、この親友には返しきれないほどの借りができてしまったので、後日『五体投地』に等しい礼を述べた。)


ついに僕の方針が決まった。


-----------------to be continued




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