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帰るまでが探索です  作者: 朝倉すずめ
5/6

探索者スタイル

そもそも冒険者は体つき一つ取っても、ちょっと体鍛えていますといった感じの探索者とは全く違う。これが例えば駆け出しの冒険者であれば、玄人と呼ばれるような探索者と遜色ない体つきなので上手く紛れ込めただろうに、この二人を駆け出しと呼んでは失礼にあたるだろうことはあまり冒険者を知らないサラサでもよく分かった。


リィンさんは女性らしい体つきだけど無駄なものは一切見当たらず、サイラスさんのみるからにがっしりとした体躯はどこを触ってもきっと弾力の良い筋肉なんだろう。隠そうとしてもなかなか厳しいものがある。ので、せめて装備だけでも近づけたのだろう。彼らの身に着けている装備は、探索者と言ってもまぁぎりぎり納得できる範囲の冒険者カブレのような格好でそれもおそらくわざとそれっぽくみせるために質を落としたもののようだ。


なので、目の前の冒険者たちの装備も彼らの内からにじみ出てしまっている力強さを感じる佇まい、おそらく数々の修羅場を掻い潜ってきた経験によって培われてきたものであろう佇まいに目をつむれば許容範囲なのだ。



つまり何が言いたいかというと、彼等にはもっと冒険者らしい姿をしているときにお目にかかりたかった。ガーディアンやグラディエーターであれば、さぞかし見栄えの良い騎士さまや麗しの女性騎士さまという出で立ちだったろうに、微妙にコダサい装備では100年の恋も醒めてしまう。

このほんの少しだけお洒落でないというあたりがポイントで、いっそセンスを感じさせない姿ならそれは見た目に無頓着な性格なのだなと思うところだが、この微妙な不格好というのがもともとの素材の良さをすべて台無しにしており実に勿体ないなと思うのだった。



そもそも探索者は、冒険者たちのように秀でた身体能力もまた優れた体そのものなどは持ち合わせていないので、頑丈ではあるが重たい鎧や素材特性を活かした華やかでかつ肌の露出の多い服装等はとてもできない。では一体どんな服装をするのかというと、基本的に丈夫な分厚い布や皮革でできたツナギを身に纏い、両の手には滑り止め付グローブをはめ、両の足には甲に鉄板の入った靴を履く。


ツナギは、廉価版であっても軽量で耐久性、耐火性、防水性、通気性にまで優れており、探索における万能服とまでいわれているし、ふわりとしたワンピースが好きなサラサであってもこれ以上に素晴らしい探索装備はこの世にないと信じている。


さらに忘れてはならないのは、おでこ部分に暗光石が取り付けられたヘルメット。

とても軽くて丈夫な上に、暗い場所に入ると自動的に暗光石が光り出すという頼りになる代物で、暗光石は石の中の発光苔が枯れると使えなくなるが、その度に石を付け替えが効き、本体そのものに破損がない限り繰り返し使うことが出来る。


この4点セットが、武器を除いた探索者の基本装備なのだが、ちょっと懐具合が温かい探索者たちは画一的なツナギ等では満足が出来ずに、各自ヘルメット以外は色や素材に拘ってオーダーメイドしたりしてお洒落をしたり、性能をあげたりなかなかこだわっている。

それはサラサやトマも例外ではない。


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