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42.魔人東京

 何者かが悪魔を呼び寄せ、東京は悪魔が蔓延る魔都東京となる。

 人間は悪魔と戦うが、重火器が通用しない悪魔に当初苦戦していた。

 しかし、人間に味方する悪魔が現れ事態は一変する。協力的な悪魔を取り込む事で、悪魔の力を得た人間たち――魔人は悪魔達に攻勢に出る。


 蠅の魔王から目を授かった少女――前田アイもまた悪魔との戦いに身を投じて行くのだ。



 おー、ふう先生の新作アニメになったのか! 萌え系の絵ながらも、繊細な書き込みで熱狂的なファンが多い作者だからすぐアニメになったらしい。

 今日たまたまテレビをつけたら、運良くふう先生の「魔人東京」第一話が見れた。しかし、この声何処かで聞いたな。


 アニメが終わったのでチャンネルを回していると、地元のニュースに蜜柑さんこと叶くんが元気よくレポートしていた。


 ん?


 この声、「魔人東京」の前田アイちゃんと同じじゃないか!

 いつの間に叶くん、こんなビッグな仕事を!


 これは、叶くんに頼んで「魔人東京」とうちの宿で何かコラボ出来ないだろうか?

 でもなあ、叶くんとは余り会いたくないしなあ。

 うーん。まあ、今のところ骸骨くんのお陰でお客さんも来てるし、わざわざ危険な叶くんと絡まなくていいや。


 

 ちょうど部屋から出た時に咲さんに会うと彼女からコーヒーでもと誘われたので、一緒にコーヒーブレイクすることになった。


「勇人くん、お疲れ様」


 椅子に座ると咲さんがマグカップに入ったカフェオレを持って来てくれた。こういう気遣いが出来るのは咲さんだけだ。存在は一番ホラーなんだけどね。


「ありがとう、咲さん」


「どういたしまして」


 咲さんはヒマワリのような笑顔を俺に向ける。少しタレ目な咲さんの顔は本当に可愛い。好みなんだけど、それだけに残念なんだよなあ。咲さんがどんな魔族なのか全く分からないから、人間と同じような感覚でスキンシップが取れるのか激しく謎だ。だって、身体からハエ出るし。

 ハエと言えば、「魔人東京」の前田アイちゃんと同じだな。

 目を貰った俺と前田アイちゃんは近いかもしれない。そう考えると少し親近感が湧いた。たしか前田アイちゃんに目を与えた蠅の魔王は、人間の感情を食べるとか恐ろしい設定だったな。


「どうしたの? 勇人くん。難しい顔して」


「ん、魔人東京ってアニメ知ってる? 咲さん?」


「ううん。どんなのなの?」


 俺は咲さんに「魔人東京」のあらすじを伝える。咲さんは楽しそうに俺の話を聞いてくれた。


「で、そのアニメの主人公がさ、蠅の魔王から目を貰うんだよ。少し親近感が出てさ」


「ふーん、魔王かあ......」


「い、いや。咲さんみたいに可愛い魔王じゃないけどさ」


 咲さんが魔王って言われてるように聞こえたかもしれないと思って、俺は慌てて訂正した。


「ふふ、勇人くん、面白い」


 良かった怒ってないみたい。


「で、その魔王の食事が面白くて、何と人間の感情なんだよ」


「......そう」


 何だ。今の微妙な間は。怖いんだけど。まさか咲さんも? いやいやー、そうだったら、俺は今頃感情無くした人形みたいになってるよー。あははは。


 俺は誤魔化すように笑うと、咲さんが準備してくれたカフェオレに口をつける。

 飲むと何だか、体が熱くなって来た。この感覚は......


「さ、咲さん。このカフェオレの牛乳......」


「うん? うっしーの牛乳余ってたから」


「あのふんもおめ! シメに行かねえと!」


 うっしーへの怒りがフツフツと湧いてくるが、ちょっとあれがあれしておさまりがつかなくなって来た。


「さ、咲さん。ちょっとまずいことに」


「どうしたの?」


 咲さんは俺の様子がおかしいことを心配してか、俺の額に手をやる。


「さ、咲さん近い」


「ん?」


 当たってる、当たってるよ。柔らかいのが。ただでさえ、あれがあれしてるのに! 咲さんは、いつかのように俺の胸に顔を埋めると何かを感じ取ってる様子。

 そ、その体勢はいろいろヤバいんですけど。

 あれがあれで、当たってて、俺のあれがあれして。

 うわあ。混乱して来た!


 と思ったら咲さんに口を塞がれたー。

 舌が入ってくる。あれ? いつものモゾモゾは?

 そのまま抱きしめられてたので、俺も彼女の背に手を回す。冷んやりとしているが、彼女の柔らかさで頭がクラクラしてくる。

 彼女の手が俺のあれに服の上から......

 え、ええー。


 もう、我慢出来ん!


 思わず押し倒しそうになった時だ。いつものモゾモゾが口内に入って来て......


「咲さん、何だかとてもスッキリしたよ! 今なら何だって出来そうだ!」


「そう、良かったわ。元気になって」


「ああ、ありがとう」


「いえいえ、ご馳走様」


 賢者の様になった俺は、冷静に先ほどのことを思い出す。原因はうっしーの牛乳だ。奴め、許さねえ。

 お仕置きだー!



◇◇◇◇◇



 咲さんが付き合ってくれると言うので、軽トラックに乗り込みダンジョンへ。

 うるさいエレベーターに乗り、三十九階に。


 うっしーは何処だー!

 俺はうっしーを捜し牧場を彷徨う。


 見つけた! 呑気に赤牛と戯れてやがる!


「ふんふんふんもー」


 鼻歌まで歌いやがって!


「ふん? ふんもー。ま、また」


 うっしーが何か喋ろうとしたが、咲さんが睨みつけ黙らせる。ナイスだ咲さん。


「よくもー。咲さん絞ってやって下さい!」


 咲さんは無言で黒い霧を出すと、うっしーに纏わりつかせた!


「ふんもおおおおお!」


 ザマアミロー! 俺たちは牛乳を採取し帰路につくのだった。


 あ、この牛乳どうしよ。後で捨てるか。

 

 ※冤罪ふもおおおおお!

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