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30.(TS注意!)オネショダ

 米俵を持って帰った俺たちが洞窟の入り口に着くと、既にマリーと猫クロが待っていた。

 荷台に巨大なエビとイカがそのまま置いてある。骸骨くんに目をやると、カタカタと頷き、ブルーシートの下にエビとイカ、そして自身も隠してくれた。


 軽トラックに乗り全員で宿に帰宅すると、親父さんに報告だ。


 ちょうど着流しが独特の元さんが来ていたので、これからハロウィンパーティお食事会をやるからと誘い、彼も参加してくれることになる。ついでに叶くんのことも相談しておこうと思って、時間があれば部屋に来てくれるように頼んでおいた。


 飾り付けはマリー達にお任せして、俺は一旦部屋に戻ると、咲さんが先に部屋に居た!

 何か本を読んでる。

 あ、あれは。俺が買ったムフフな本じゃないかー。

 クロがコスプレものとか買うから、俺も誤魔化す為に買ったんだ。あくまで誤魔化す為だ。決して後で使おうなんて思ってないから......

 それを咲さんが凝視してる!


「咲さん?」


「あ、勇人くん。こういうの好きなの?」


 咲さんは、裸の女の子がいけない姿でけしからん体勢をしている写真を、俺に見せてくる。酷い羞恥プレイだ。


「咲さん達魔族の男は、こういうの見ないの?」


「ん、愛し方が種族によって違うからね。クロとかこれに近いんじゃないかな」


「あいつ猫だしなあ。似てると言えば似てるのか」


「で、勇人くん、こういうの好きなの?」


 う、上手く誤魔化したと思ったのに!


「ま、まあ俺も一応男だし。そらまあ」


「ふうん、スライムとこういうことしてたんだー」


「も、もうやめて下さい。僕の精神力はもうゼロですうう」


「あはは。面白い勇人くん」


 咲さんはそれで許してくれたが、本を持っていかれてしまった。残ったのは、猫耳犬耳コスプレと月間ぺったん娘だ。

 ちくしょう!


 そこで扉を叩く音がした。

 誰だろう?


 扉を開けると、着流しの長髪――元さんが訪ねて来た。そうだ。俺はさっきハロウィンに元さんを誘った時に、時間あれば話をしたいと言っておいたんだ。

 うん、叶くんのことでだよ。元に戻すか、ちゃんと女にしてやってくれ、不憫過ぎる。


「元さん、わざわざありがとうございます」


「俺っちに何用だい。勇人」


「んとですね。以前俺の友人だった叶くんに、魔法をかけたとか聞きまして」


「ん、そんなこともあったかも知れねえなあ」


「で、今度連れて来ますから、元に戻すか、女にしてあげて欲しいんですよ」


「おうよ。任せとけ。女になりたいのかい?」


「ええ、そうです」


「わかったぜ!」


 元さんが着流しをまくり、手を歌舞伎役者のように突き出すと、手のひらが光る。

 って俺に魔法かけるんじゃないー!

 俺が口を開く前に、元さんの手のひらから光が飛び、俺にぶち当たる!


 マジかよ!


「どうでい?」


「どうもこうも無いですよ! 俺じゃなくて友人だって言ったじゃないですか!」


 待て! 俺の声じゃない。この声は聞いたことがあるぞ。「吾輩」とか言う奴の猫耳モードそっくりだ。

 はたと気づき、俺は自分の身体を見渡すと、履いていたジーパンはダブダブでずり落ち、黒のボクサーパンツが半分見える位置まできているが、上着のボタンシャツに隠れ、パンツは外から見えることはなかった。

 一番気になっていた胸を触るが、元のままな気がする。

 次にクソ猫耳そっくりの声が出た喉に触れると、違いが明らかだ! だって喉仏が無いんだもの!

 躊躇したが、股間にボクサーパンツの上から触れてみると、やはり......


――無い。


 ついでに毛も無い。どこがとは言わないが。


 クソがあ! TSなんて漫画で楽しむから良いんだよ! 男の子が女の子になって戸惑うのを見て、萌え萌えすればいいんだ! 当たり前だけど、漫画で見るからいいのであって本人がTSしたいなんて思ってるわけ無いだろうがあ! 叶くんじゃあるまいし。


「お前さんの好みにバッチリだろう。カカカ」


 元さんは大笑いしながら、ある雑誌を指差す。


――月間「ぺったん娘」を。


 俺の趣味じゃねえ! ちくしょう。こんな姿にされた上に好みまで勘違いされるとは、何てことだ!

 もう酷すぎて突っ込む気力も失せてくる。


「元さん、とにかく元に戻してくださいよ!」


「俺っち、魔力が空っぽだあな。一週間待てよ、勇人」


「一週間この姿なんですか! 間違いで一週間もおおお!」


「まあ、好みの女になれたと思って楽しみなや」


 カカカと笑い声をあげながら、着流し元さんは去って行った。

 落ち着け俺。今までだって不条理なことは沢山あったじゃないか。

 大丈夫だ。一週間後には元どおり、何も無かった。

 大丈夫......グッと拳を握りしめる。が、鏡に自分の姿が映る。


 長い黒髪に前髪パッツン、猫のような大きな目、小柄で胸が無い。


 猫耳クロそっくりじゃねえかよ!

 大丈夫、大丈夫......んなわけあるかあ!


 腕を振り回し憤っていると、マリーがやって来た。


「ゆうちゃん、飾り付けできたよー」


「マ、マリー。大変なことに」


「おー、ゆうちゃん、イメチェンしたんだー。前の方が男らしくてよかったかもー。でも、それも可愛くていいかもー」


 待てマリー、そんな問題じゃない!

 そら前の方が男らしいだろうよ。だって男だもの! 性別も容姿も変わってるのに、イメチェンてレベルじゃないって。


「俺って分かるの?」


「うんー。色は変わってないもん。ゆうちゃんだよー」


 イメチェンに興奮したマリーが、俺に抱き付いてくると、彼女の顔がドアップになる。


「こら、興奮するな!」


「イメチェンしたから味見させてー」


 俺の返事も聞かずに、首筋へ歯を立てるマリー。

 幸いほんの少しだけしか吸われなかったので、体調に変化はない。


「勝手に吸うんじゃない!」


「ゆうちゃん、んーと、味は変わってないよ。やっぱりゆうちゃんはゆうちゃんだー」


「マリーは俺の性別とか気にしないのか?」


「んん、んー。たまにならいいんじゃないー。それ魔法でしょ」


「ああ。元さんにやられた。あの悪魔め!」


「ゆうちゃん、元さんの正体知ってたんだー。ちょっと驚いちゃった」


「あいつ、悪魔かよ! この際、元さんの正体とかどうでもいい。戻りさえすればな」


 仕方ないのでそのままハロウィンの準備をしたという食堂へ、って気分になれるかー!



 マリーが全員に事態を伝えたんだろう彼女とと入れ替わりに咲さんが心配そうな顔でやって来た。

 さすが咲さん。普通そういう顔するよね。マリーはいつもと変わらなかったんだぜ。


「勇人くん、イメチェンしたからハロウィンは中止になったよ」


 待て! イメチェンになってるのかよ。


「これ、イメチェンってレベルじゃないんだけど」


 俺が頭を抱えると、咲さんは優しく俺の頭を撫でてくれる。冷んやりしているが、心地いい。


「確かに少し変わっちゃったね。でも勇人くんは勇人くんだよ」


「来週には戻れるそうですし、一週間くらいは」


「その格好だったら、付き合って欲しいところがあるの。いいかな?」


「外出るの恥ずかしいだけど」


「大丈夫! 恥ずかしく無くなってるはずだから。お礼じゃないけど、体に問題ないか調べてあげる」


「んー、何処か不安なんだけど。まあいいか。ダンジョンじゃないよね?」


「うん。ショッピングセンターだよ! マリーは服に興味ないから。勇人くん、普段だと恥ずかしいって言うし」


「あー、この格好なら確かに......咲さんと出掛けたことダンジョン以外ないから、いいよ」


 そう、マリーとクロとは何度も一緒に出かけてるのに、咲さんとは出掛けてないんだ。だから、せっかくの機会なので付き合うこと決めた。


「ありがとう!じゃあ。座って」


 俺はズレたズボンをとりあえず脱ぎ、無意識にペタン座りをした。


「じゃあ、調べるよ」


 咲さんの全身から黒い霧――ハエの大群が噴出する。

 前回気絶しなかったとはいえ、恐怖感が強烈なことには変わりない。漏らしそうになるのを必死で堪えるが、いつもと違って挟み込んで無理矢理我慢するアレがない!


 ヤバイ! これはヤバイ。


「あ、咲さん......」


 俺の股の間から暖かいものが漏れてくる......とたんに顔が真っ赤になってふさぐ俺......


「勇人くん、ごめんね」


 咲さんが自分の浴衣が汚れるのも気にせず、俺をギュッと抱きしめてくれた。咲さんに大丈夫、怖くないって言ったところなのに、漏らしてしまった。恥ずかしさはもちろん穴を掘って埋まりたいほどある。だけど、咲さんを傷つけてしまったことのほうが俺にとって辛かったんだ。


「咲さん、ごめん。怖くないって言ったのに」


「いいの。人間だから仕方ないんだよ。大丈夫って言ってくれただけで嬉しいから」


「ごめん......」


 俺は咲さんの胸に埋まり少しだけ彼女を抱きしめた。

 そんな俺の背を咲さんは優しく撫でてくれたんだ。

いや、そろそろTS来ると思ってましたよね?

はやりのオネショタならぬオネショダをやってみました。

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