アルコール依存症94
「我々が品種改良した人食い鹿だ。その鹿達と殺すか殺されるかのマンハンティングをして貰う。それがお前らの刑だ」と小太りの老人看守が二人に告げた。
二人の会話に割り込むように小太りの老人看守が鉄格子の向こうに現れ、ポーカーフェースのままに事務的に二人に告げた。
「お前らの刑が決まった」
行雄が虚勢を張り大声を出す。
「刑が決まったって、俺達はまだ起訴もされていないし、正式な裁判も受けていないぞ!」
看守が表情一つ変えず言い放つ。
「この都市ではそんなものは必要無い。お前らの刑はマンハンティングだ」
行雄とは違い悪友が至って慇懃に尋ねる。
「マンハンティングとはどんな刑なのですか、看守さん」
瞬きもせずに無機質な口調で看守が答える。
「この都市の外れに人食い鹿が多数棲息している森がある。そこでお前らは、その鹿達にマンハンティングされるわけだ」
行雄が益々虚勢を張り声を限りに喚いた。
「じじい、肉食の鹿なんかいるわけないじゃないか!」
看守が行雄の言葉をいなすように物静かに答える。
「我々が品種改良した人食い鹿だ。その鹿達と殺すか殺されるかのマンハンティングをして貰う。それがお前らの刑だ」




