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アルコール依存症88
「と言うか俺は今では老人連合に感謝しているがな。何故ならば老人連合はこんな素晴らしい愛しの婆さんと出会える酒の湖を用意してくれたのだから、お前にも感謝しているわけさ」と行雄は言った。
悪友が言った。
「婆さんから来たメールも全て老人連合の罠だとお前は言いたいのか?」
ここで再度行雄が悪友の手を振りほどき、湖畔に舞い戻ってから、その光景を愛でるように言った。
「その通りさ。と言うか俺は今では老人連合に感謝しているがな。何故ならば老人連合はこんな素晴らしい愛しの婆さんと出会える酒の湖を用意してくれたのだから、お前にも感謝しているわけさ」
悪友が頓狂な声を出して尋ねる。
「何故俺に感謝するのだ?」
行雄が薄ら笑いを浮かべてから答える。
「お前の出鱈目なインスピレーションのお陰で俺はこんな桃源郷に辿り着いたのだから、感謝するしかあるまい」
悪友が行雄が逃げないように素早く手を掴み言った。
「その言い方では、まるで俺が老人連合の手先のようだな?」
行雄が渋面を作り、苦笑いを浮かべてから言った。
「違うのか?」




