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アル中の歌  作者: 岩本翔
84/260

アルコール依存症84

悪友が行雄の手を引っ張ると瞬時湖から遠ざかり、山林の中に二人は瞬間移動したのだが、行雄が悪友の手を振りほどくと湖に戻ってしまうを繰り返した。

悪友が行雄の手を引っ張ると瞬時湖から遠ざかり、山林の中に二人は瞬間移動したのだが、行雄が悪友の手を振りほどくと湖に戻ってしまうを繰り返した。




悪友が言った。





「おい、湖から離れられるではないか?!」




行雄が白目を剥き、せせら笑い答える。





「でも俺が手を振りほどくと湖に戻り、元の木阿弥じゃないか」




悪友が喚き散らす。





「お前が手を振りほどかなければお前は助かるのだ。だから手を振りほどくんじゃない!」





行雄が涙ぐんだまま苦笑いして言った。





「俺は酒の湖に沈んで愛しい婆さんと一緒になり、永遠に愛を育みたいのだ。だから邪魔をするな?」





「酒の湖に沈んだって、愛しい婆さんはいやしないぞ。生きるんだ。生きろ、それしかお前の道は無い!」





行雄が再び手を振りほどき、湖畔に戻るのをやり切れない表情をして確かめてから言った。




「もういいよ。俺は酒に魂売った人間なのさ。だからお前一人で行け。それに…」





「それに何だ?」





行雄が涙ぐんだまま目を細め物静かに言った。





「お前の手を引っ張る力は弱すぎるんだ」

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