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アル中の歌  作者: 岩本翔
73/260

アルコール依存症73

「そうだ。とにかく希望としての絶望的金属音の濃霧を掻き分け、婆さんの水に辿り着こう。道はそれしかあるまい」と悪友は言った。

行雄が戸惑いうろたえつつ言った。





「しかし俺達はこの濃霧の水の金属音の中で溺れかけているのならば、既に俺達は水に辿り着いている話しで、この金切り金属音は俺達の死の音を象徴し、俺達は同時にその死ね音色を聞いているのじゃないのか?」




ゆっくりとした歩調で悪友が行雄を先導しながら言った。





「この音が俺達の死の音の予知夢のような悍ましい存在ならば、お前の婆さんを慕う気持ちで水の色を変えて、生の水の金属音に変換辿り着けば良いだけの話しではないか。違うのか?」




行雄が言った。





「成る程。こうして俺達が死の音に追われ怯えながらも、逃げ歩いていられるのは、婆さんへの慕情があるからこそならば、やはり婆さんの呼び声が俺を誘っているわけだから、この濃霧としての水の金属音は俺の表面絶望的なる相反する希望の顕れというわけか?」





悪友が自分を落ち着かせる為に再度深呼吸してから答える。





「そうだ。とにかく希望としての絶望的金属音の濃霧を掻き分け、婆さんの水に辿り着こう。道はそれしかあるまい」

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