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アルコール依存症68
「いや、これは単なる俺の直感なのだが、水と婆さんはゆかりというか関係があると、俺は感じるんだ」と悪友が言った。
獣道の険しい隘路が続く山林が夕暮れ時を迎えると共に霧が立ち込め、冷え込みがかなりきつくなって来た。
再び息が上がり行雄が息を弾ませつつ言った。
「もう夜だし、ここらでキャンプを張って暖を取ろうぜ」
悪友が頷き答える。
「分かったが、しかし霧が出て来たという事は近くに川か湖があるのかもしれないな」
行雄が息を調えてから尋ねた。
「それがどうかしたか?」
悪友が息をつき首を傾げ答える。
「いや、これは単なる直感なのだが、水と婆さんはゆかりというか関係があると、俺は感じるんだ」
行雄が頓狂な声で尋ねた。
「水、か?」
悪友が恭しく頷き答える。
「そうだ。まあこれは俺の単なる直感なのだがな」
行雄が疲れ切った表情をしてからおもむろに言った。
「まあ何でもいいから、早くテントを設営しようぜ」




