64/260
アルコール依存症64
「何だっていい。これは脱獄するチャンスじゃねえか。俺は見事脱獄して見せるわ!」と行雄は息巻いた。
取り調べが終わると、まるで汐が引くように警察官が人っ子一人いなくなり、行雄と悪友はおそるおそる合流した。
悪友が言う。
「おい、手錠を外され、この小学校はもぬけの殻だぞ。これはどうなっているのだ?」
行雄が首を傾げ答える。
「これは俺達に逃げろという合図なのではないのか?」
悪友が戸惑い言った。
「逃げろって、何処に逃げるのだ?」
行雄が涙を拭いつつ答える。
「山を下って里にさ」
悪友が顔をしかめ言った。
「おい、勘弁してくれ。俺達は車を失ったのだぞ。仮に奴らが俺達を逃がしたとしても、俺達は里に辿り着く前に遭難しておだぶつじゃないか?」
行雄が今度は息を吐き出してから答える。
「何だっていい。これは脱獄するチャンスじゃねえか。俺は見事脱獄して見せるわ!」
「しかしな…」
「しかしもへったくれも無い。行くぞ!」




