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アルコール依存症63
「うるさい。犯罪者を差別するのが警察官の仕事じゃから、それの何処が悪いのじゃ。馬鹿野郎!」と行雄を取り調べている老警察官が怒鳴った。
行雄が泣きながら言った。
「お、俺は何もしていないのに、こ、こんなの冤罪的差別犯罪容疑ですよね?」
でっぷりとした老警察官が再度怒鳴る。
「貴様が鹿を差別して殺し喰らったのではないのか。それこそが立派な差別ではないか。違うのか、馬鹿野郎?!」
行雄が熱い涙を流しつつ吃りながら弁解する。
「お、俺は馬鹿野郎なんて名前じゃありません。さ、差別しないで下さい」
「鹿殺しの大罪を犯した者を馬鹿野郎呼ばわりして何処が悪いのじゃ。馬鹿野郎!」
「これは明らかに冤罪です。俺は、む、無実です。これは立派な差別逮捕です。勘弁して、く、下さい、お巡りさん」
老警察官が言った。
「俺はお巡りさんではない。それこそが差別用語ではないか。この鹿差別野郎、死ね!」
「それも差別用語で、すよね?!」
「うるさい。犯罪者を差別するのが警察官の仕事じゃからのう、それの何処が悪いのじゃ。馬鹿野郎!」




