アルコール依存症62
廃校になった小学校をそのまま警察署に使用している建物に二人は連行され、各個元教室で取り調べを受ける。
廃校になった小学校をそのまま警察署に使用している建物に二人は連行され、各個元教室で取り調べを受ける。
警察官は皆現役を退いた感じがするものの、その精力的な取り調べは苛烈なるものがあり隣の元教室から怒声と、それに脅され泣き出した行雄の涙声を聞きながら悪友は懸命に罪状を否定する。
「だ、だからいきなり飛び出して来た鹿を撥ねても、それは不可抗力であり、動物愛護法違反の犯罪にはなりませんよね、違いますか、け、刑事さん?」
形通りにボールペンで調書に容疑者の罪状を記入しながら、老人警察官が一喝した。
「今回はそうじゃが、貴様らは過去鹿を車で撥ねその鹿を喰らったじゃないか、違うのか?!」
悪友がしどろもどろになりつつ言った。
「な、何か物的証拠でも、あ、あるのですか?」
警察官が答える。
「あるぞ」
「な、何があるのですか?」
老警察官がにんまりとしてから言い放った。
「貴様の連れが鹿を喰らった場面が写真に収められているのじゃ」
「そ、それを、い、今見せて下さい?」
警察官が首を振り答える。
「それは駄目じゃな」
「な、何故ですか?」
「検事に回したから、ここには無いからじゃ」




