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アルコール依存症61
「動くな、貴様らを動物愛護法違反で逮捕する!」と警察機動隊が二人の乗るジープを取り囲んだ。
行雄が取って付けたようにうそぶいた直後、鹿が飛び出し、ジープは回避する事もままならず、鈍い激突音を立てて撥ねてしまった。
行雄が怒声を上げる。
「留めろ!」
悪友が車を路肩に留めてから呼応した。
「しかしここで留めて鹿を喰らうのは危険だろう。奴らの思う壷だぞ!」
行雄が大声を出して逆らう。
「うるさい、好機到来じゃないか。ここで鹿を喰らう以外何処で喰らうのだ!」
そう言って行雄が助手席のドアを開けた刹那、大勢の物々しい装備を施した警察機動隊が一斉に車を取り囲み、ジュラルミンの盾をかかざして、その中のリーダーらしき屈強の警察官が大声で怒鳴り、二人に対して命令した。
「動くな、貴様らを動物愛護法違反で逮捕する!」




