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アルコール依存症60
「マグナムではなぶりものにはならないからな。興ざめするだろう、奴らも」と行雄が言った。
傷が癒えて、車を修理してから二人は違う峠道を鹿を求めてひた走った。
監視されている感じは一切しない。
だがその分不気味だ。
とりえずは車の装甲を強化して、二人共戦闘服を纏い、登山ナイフを携える防備をした。
厳めしい顔をして行雄が言った。
「このヘルメットは仰々しのではないのか?」
運転している悪友が答える。
「いや、老人連合ならば、その気になれば狙撃用のライフルさえ調達可能だろう」
行雄が鼻を鳴らし言った。
「このヘルメットと戦闘服、ウインドガラスは防弾仕様なのか?」
悪友が答える。
「まあとりえずはそうだが、マグナムを持って来て発砲されたら堪ったものではないけどな」
行雄が引き攣ったように笑い言った。
「マグナムではなぶりものにはならないからな。興ざめするだろう、奴らも」




