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アルコール依存症58
「いや、俺は婆さんを信じる。そして必ず助け出して見せる。必ずな」と行雄は涙ながらに言った。
その直後、行雄の携帯電話に婆さんから「私は老人連合に囚われの身であり助けてくれ」とメールが届いた。
それを見て行雄が眼に一杯の涙を溜め、それを手の甲で拭ってから言った。
「そうだったのか、あの時、婆さんはあの爺さんに連れ去られて行こうとするのを俺は見たのだ。可哀相に助けてやらなければならないな、絶対に」
悪友が包帯を辛そうに手で押さえるような仕種をしてから言った。
「敵の罠かもしれないぞ」
行雄が熱い涙を一筋流してから言った。
「いや、罠なんかじゃない。あんな優しい婆さんが俺に罠なんか仕掛けるものか!」
悪友が異論を唱える。
「しかしあの爺さんと婆さんが結託している可能性は否めないではないか。違うのか?」
行雄が自分の携帯に来た婆さんからのメールを悪友に見せてから断言した。
「いや、俺は婆さんを信じる。そして必ず助け出して見せる。必ずな」




