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アルコール依存症56
次の瞬間、四方八方から石が投擲され、矢継ぎ早に行雄と悪友の身体に命中した。
次の瞬間、四方八方から石が投擲され、矢継ぎ早に行雄と悪友の身体に命中した。
行雄と悪友が同時に闇をつんざくような絶叫を上げる。
そんな二人に向かって無数の石は間断なく命中し、悪友が激痛を耐え、かい潜るように叫んだ。
「車の中に逃げろ!」
行雄は「痛い、痛い!」と苦悶の叫び声を上げながらも、何とか車のドアを悶えるように開き、悪友とほぼ同時にドアを閉ざし車内に避難した。
その車に向かって石がどんどん投擲される。
暗がりの中で投擲する石の命中率は極めて高く、二人が乗り込んだ運転席と助手席に向かって集中攻撃容赦なく投げつけられ、ウインドガラスが破損し、ヒビが入って行った。
頭に石が命中し血を出している悪友が声を限りに叫んだ。
「発車するぞ、引き返そう!」
同じように額から血を流している行雄が痛みに顔を歪めながら答えた。
「分かった」




