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アルコール依存症53
「あの爺さんとお前の愛しい婆さんが結託しているか、いないかで、話は違って来ると思うんだ」と悪友は言った。
程なく行雄は全快して退院し、断酒用の薬を飲みながら悪友に提案した。
「どうする婆さんのメールは曖昧模糊で、返信不能だし、俺達が山に赴き何をするのかは一切明示されていないわけだ。だから俺達の出来る事は鹿を殺し食う事位しかないのだが、それはどう思う?」
静かな佇まいで黙考してから悪友が答える。
「あの爺さんとお前の愛しい婆さんが結託しているか、いないかで、話は違って来ると思うんだ」
車椅子からも解放された行雄が腕を組み言った。
「結託している場合は、俺達を殺す目的を持っている可能性が高いな。結託していない場合は、婆さんは俺の味方で、爺さんは敵という事か?」
悪友が頷き答える。
「まあそうなるだろうな。当然違うケースの場合もある事を考慮に入れなければならないだろうが」
行雄が息を吐き出し言った。
「とにかく何を為すべきかが皆目見当もつかない状況なのだから、とりあえずは鹿を殺して食うしか方法はあるまい」
悪友が眼を細め言った。
「凄惨なる殺し合いになる可能性が高くてもか?」
行雄が言い放つ。
「ここまで来たら仕方ないだろう」




