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アル中の歌  作者: 岩本翔
53/260

アルコール依存症53

「あの爺さんとお前の愛しい婆さんが結託しているか、いないかで、話は違って来ると思うんだ」と悪友は言った。

程なく行雄は全快して退院し、断酒用の薬を飲みながら悪友に提案した。





「どうする婆さんのメールは曖昧模糊で、返信不能だし、俺達が山に赴き何をするのかは一切明示されていないわけだ。だから俺達の出来る事は鹿を殺し食う事位しかないのだが、それはどう思う?」




静かな佇まいで黙考してから悪友が答える。




「あの爺さんとお前の愛しい婆さんが結託しているか、いないかで、話は違って来ると思うんだ」





車椅子からも解放された行雄が腕を組み言った。




「結託している場合は、俺達を殺す目的を持っている可能性が高いな。結託していない場合は、婆さんは俺の味方で、爺さんは敵という事か?」




悪友が頷き答える。





「まあそうなるだろうな。当然違うケースの場合もある事を考慮に入れなければならないだろうが」




行雄が息を吐き出し言った。





「とにかく何を為すべきかが皆目見当もつかない状況なのだから、とりあえずは鹿を殺して食うしか方法はあるまい」





悪友が眼を細め言った。





「凄惨なる殺し合いになる可能性が高くてもか?」





行雄が言い放つ。





「ここまで来たら仕方ないだろう」

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