表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アル中の歌  作者: 岩本翔
50/260

アルコール依存症50

妄想だろうが幻覚だろうが、行雄はアルコールを飲まなくとも希望が持てたのだから、それに付き合おうと悪友は考えた。

悪友は考える。





行雄が見た婆さんは多分妄想幻覚の類いだろうと。





だがそれはそれで良いではないかと悪友は考える。





行雄はアルコールを飲まなくとも希望が持てたのだから。





妄想だろうが何だろうが消えかけた命が、その灯を再び燃やしているのだから。





このまま行雄が死んでしまうよりは数段増しだと悪友は思う。





行雄とは腐れ縁で長い付き合いだ。





死なれては余りにも寂しい。





そんな悪友の思いを度外視して行雄が気丈に言った。





「お前はもう一度あの爺さんを探してくれ」




悪友が反論する。





「しかし余り変な動きをしても逆に怪しまれるしな」





行雄が焦れて言い放った。





「怪しまれない程度に病院全体を探してくれ!」




ここで再び悪友は考えた。





やがて行雄が抱いた希望が妄想幻覚の婆さんを再び見せるだろう。それまでは行雄の命令に従い、探す振りをしようと。





その思慮をひた隠し、悪友は答えた。





「分かった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ