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アルコール依存症49
「絶対に婆さんはいた。だから俺は再度婆さんを探し当て、愛の告白をする」と行雄は決意表明した。
悪友が付け加える。
「婆さんが本当にこの病院にいるとするならば、お前はもう一度会って想いを告白をしたいだろう」
行雄が悪友を睨みつけ言った。
「お前は俺の見た婆さんが幻覚だとでも言いたいのか?」
跳ね付けるように悪友が答える。
「妄想幻覚の類いでも、お前にとっては掛け替えのない婆さんなのだから、徹底的に探し出すべきだと断固俺は思う」
生気のない眼で悪友を睨み据えたまま行雄が言った。
「絶対に婆さんはいた。だから俺は再度婆さんを探し当て、愛の告白をする」
ここぞとばかりに悪友がしきりに頷き答える。
「そうだな。道はそれしかあるまい」




