43/260
アルコール依存症43
「いや、間違いない。俺の病気は老人連合が作っているのだ。その回し者を洗い出して始末するしかない」と行雄は言った。
行雄が狂ったように一点を見詰め言う。
「この病院には老人連合の回し者がいて、俺を薬漬けにして殺そうとしているのじゃないか?」
悪友が苦虫を噛み潰したように言った。
「そんな馬鹿な。医者が老人連合の回し者でお前を殺そうとしているというのか?」
行雄が答える。
「そうだ。さもなければ俺の病状がこんなに急速に進行するわけがないじゃないか?」
悪友が呆れて笑い言った。
「お前の病状は今有るがままの病状で、それを的確に自覚するしかあるまい」
行雄が否定する。
「いや、間違いない。俺の病気は老人連合が作っているのだ。その回し者を洗い出して始末するしかない」
「それも幻覚妄想だというのがお前分からないのか?」
「妄想も現実になるならば現実ではないか」




