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アル中の歌  作者: 岩本翔
42/260

アルコール依存症42

「じゃあどうするんだ。アルコール飲んで死ぬか、飲まないで死ぬか、どちらを選ぶ?」と悪友は尋ねた。

行雄は重度の白内障にかかり、レーザー治療が開始された。




総合病院の中を車椅子に乗って行き来する行雄は、足がむくんで歩行困難なのだが、まだ気力を振り絞れば歩く事は出来る。





当然アルコールを拒絶する薬は併用しているのでアルコールは飲んではおらず、その分糖尿病の進行は順次緩んではいるのだが、薬の副作用で気力が萎え、眼が霞んで良く見えない事が追い打ちをかけ歩こうとしない。




その車椅子を押しながら悪友が言った。




「何だアルコール飲まないと歩くのもかったるいか?」





行雄が苦笑いしてから答える。




「そうだ。アルコールは飲みたくない分歩くのも、生きるのもかったるい。眼はよく見えねえし、足は痛いし、薬漬けで胃も痛いし、身体中重くて鬱状態だしな、死んだ方が増しだというのが正直な気持ちだし、つまり薬では身体は完治しないという証明が俺だろう」




悪友が尋ねる。





「じゃあどうするんだ。アルコール飲んで死ぬか、飲まないで死ぬか、どちらを選ぶ?」





行雄が答える。





「そりゃあ今はアルコールなんか見たくもねえけれども、どっちを選ぶかと問われれば当然アルコール飲んで死ぬ方を選ぶさ」

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