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アル中の歌  作者: 岩本翔
41/260

アルコール依存症41

悪友が涙ぐみ、それを拭って言った。

「お前って奴は本当に情けない奴だ」

悪友が尋ねる。





「お前は生きて愛しい婆さんに会いたいのだろう?」





行雄が答える。





「それはそうだが、だが薬を飲んだままでは俺は希望たるあの婆さんに会えないじゃないか」





「だから希望を見出だす為にお前は生きたいのだろう。だったら酒を断つしかないではないか」




「だから酒を断って、俺は酒としての希望たる婆さんに会うのだから、心配するな」





悪友が苛立つ。





「だからお前は酒を飲んで希望を見出だすのだろう?」





「そうだ。それの何処が悪いのだ?」





悪友が涙ぐみ、それを拭って言った。





「お前って奴は本当に情けない奴だ」

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