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アルコール依存症37
「何だか足がむくんで痛くなって来たわ。うーん我慢出来んぞ」と行雄が言った。
鹿が出て来ないので行雄は苛立ち、その分酒量が増して行く。
ハンドルを握っている悪友が再度忠告する。
「おい、止めとけよ。本当に死んじまうぞ!」
行雄は言う事を聞こうとしない。
「うるせー、これが飲まずにいられるか、馬鹿野郎!」
悪友がため息をつき提案する。
「今日はもう止めとこう。鹿出て来ないだろう?」
気が大きくなっている行雄が拒む。
「俺が出張って来たのだ。必ず鹿は出て来るさ!」
「何を根拠にお前はそんな出鱈目な事を言っているのだ?」
行雄が悪辣な笑みを浮かべ言った。
「俺が酒を飲んで出張って来たのだぞ。この俺様がな。しかし…」
「しかし、何だ?」
行雄が顔をしかめ言った。
「何だか足がむくんで痛くなって来たわ。うーん我慢出来んぞ」
悪友が眼を剥き尋ねる。
「おい、糖尿病が悲鳴上げているのじゃないのか?」
行雄が更に顔をしかめ言った。
「分からないが、とりあえず引き換えしてくれや」




