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アルコール依存症35
「今だって死んだような状態じゃないか。同じ事よ」と行雄は言った。
行雄は退院し、悪友に向かって宣言した。
「俺は死にたくて仕方ないぞ。薬の副作用で酒は嫌いになったが、やはり前のように生きる気力なんか生まれないじゃないか。だから…」
悪友が尋ねる。
「分かった、賭けは俺の負なのは認めよう。だからお前はどうしたいのだ?」
行雄が言った。
「だから俺は薬を止める」
悪友が驚いて言った。
「おい、ちょっと待てよ。又酒を飲むのか?」
行雄がやるせない笑みを湛え言った。
「仕方ないじゃないか。俺は俺の生きる気力を取り戻す為には道はそれしか無いのだから」
悪友が眼を剥き言った。
「お前死ぬぞ!」
行雄が答える。
「今だって死んだような状態じゃないか。同じ事よ…」




