アルコール依存症30
「酒を飲めば死ぬし、薬を飲めば生きるのだぞ。それでもお前はアルコールを取るのか?」と悪友は行雄を諭した。
悪友が反論する。
「矛盾しているじゃないか。お前はアルコールを究極ドラッグだと言ったじゃないか。お前はドラッグに魂を売るのか?」
行雄が涼しい顔をして答える。
「そんなのは当たり前じゃないか。薬は副作用があり眠ってしまうだけだが、酒は憂さ晴らしになるし酔わせてくれるからな」
悪友が反論を重ねる。
「アルコールにだって副作用はあるじゃないか。今こうしてお前が重度の依存症になり、身体を蝕まれ、命が消えようとしているのが、立派な副作用だろう。それに急性アルコール中毒などは昏睡状態になっておだぶつじゃないか?」
行雄がせせら笑い言った。
「矛盾もへったくれもない。同じドラッグならば、それは好みの問題じゃないか。俺は薬より酒が好きなんだ。だから酒を選ぶまでよ」
悪友が憤りを込めて言った。
「酒を飲めば死ぬし、薬を飲めば生きるのだぞ。それでもお前はアルコールを取るのか?」
行雄が言って退ける。
「好きな物は仕方ない。死のうが何しようが、それが魂を売った者の運命じゃねえか」




