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アル中の歌  作者: 岩本翔
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アルコール依存症226

それは砂浜で濡れてはならない月の光の滴り落ちた砂粒を、そっと月の遮光の触手で海から静かに遠ざけ、そのほのかな光を護り通すが如く作業に似ている。そんな呪文を婆さんは美しいコーランを小声で唱えるが如く唱えている。

瞼を閉じ婆さんはいんを踏むように微かな声で呪文を唱えている。




呪文を唱える際、行雄を助けようとする憐憫は禁物となる。





無我の境地で、まるで美しいコーランを唱えるように、正確的確に呪文を唱えて行く。




集結し、又散っては集結する微妙な呪術のいんは、少しでも損なうと全てが破綻を招いてしまうのだ。





それは砂浜で濡れてはならない月の光の滴り落ちた砂粒を、そっと月の遮光の触手で海から静かに遠ざけ、そのほのかな光を護り通すが如く作業に似ている。





とにかく少しでも感情を差し挟んでしまうと、行雄の命のほのかな光は潰えてしまうのだ。





それを踏まえながら、流れを損なわないように、婆さんは細心の注意を払いながら独り言を呟くようにひたすら呪文を唱えている。

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