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アルコール依存症247
「金輪際嫌だね、俺は…」と死刑囚は言った。
死刑囚が尋ねる。
「それではその法則性の中では既にその選択肢は決まっていて、それに先生が気がつくポイントまでが我々の会話の流れとなるのですね?」
鎮座したまま巫女が答える。
「そうですね」
悪友がしみじみと言った。
「ならばこの世に偶然と言うのは一切なく全て必然なのか」
それには巫女は応じず、変わりに乾いた口調で言った。
「このような会話も別段流れからは逸れてはいませんから、続けて下さい」
悪友がしみじみと言った。
「全て必然ならば、俺達は生きる為の覚悟と死ぬ覚悟を同時に持った方が無難という事か…」
その言葉を受けて死刑囚が言った。
「卑怯かもしれないが、今更俺には生きる覚悟は出来ないだろう。そんな意気地は絶望に飲み込まれてとっくに掻き消えたいるからな」
悪友がやる瀬なく一笑してから言った。
「でも生きる道が必然ならば受け入れるしか道は無いだろう?」
死刑囚が首を傾げ言った。
「金輪際嫌だね、俺は…」




