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アルコール依存症239
「嘘だ。あんたは諦めの境地などには全く達していない」と巫女の見守る中、悪友と死刑囚は話し合いを執り成して行く。
悪友と死刑囚の間で自分が身代わりになるべきだとの名乗り合いが執り成されて行く。
死刑囚が言った。
「ならばこの世に全く未練が無い俺が身代わりになるのは順当だな」
悪友がその言葉を否定する。
「いや、未練のなさ量と言えば俺はあんたに引けは取らないさ。だから身代わりは俺だろう」
死刑囚が反論する。
「いや、あんたはまだ生への未練も多々あるし、親に自分の結婚した姿を見せてやりたいという気持ちもあるではないか?」
悪友が首を振り否定する。
「それは確かにあるが、俺は親友を救う為に死を選びそんな未練は母さんと話し合い、帳消しになったと言うか、掻き消えたわけだ」
死刑囚が鋭く指摘する。
「嘘だ。その言葉こそが、生きて親友を支えてやりたいと言っているではないか。違うのか?」
悪友が反論を重ねる。
「俺は嘘なんか言ってはいない。だから俺は死んで親友を救いたいのさ」
死刑囚が再度舌鋒鋭く切り込む。
「嘘だ。あんたは諦めの境地などには全く達していない」




