アルコール依存症238
「そうです。あなた方が話し合うその会話の中から私は我が道連れを選ぶつもりなのです。それが責務を果たせななかった私のあなた方への謝罪でもあるのです」と巫女は悪友と死刑囚に向かって言った。
赦免という呪術が巫女を誘導し、巫女はその抗い難い法力に依って我を失ったように動き、病室にいる悪友と死刑囚に順次面会をした。
まず巫女は二人に向かい逃亡した顛末を頭を下げ謝罪してから、用件を切り出した。
「あなた方二人の心を開示し、見てから、私と共に身代わりとなる者を選定するので、そのつもりで、私の前で忌憚なく二人の気持ちを話し合って下さい。よろしくお願い致します」
悪友が首を傾げ尋ねる。
「それは我々二人の中から一人を選抜し、身代わりとする事でしょうか、先生?」
婆さんの代理とも言える巫女が恭しく頷き告げる。
「そうです。あなた方が話し合うその会話の中から私は我が道連れを選ぶつもりなのです。それが責務を果たせななかった私のあなた方への謝罪でもあるのです」
悪友が再度尋ねる。
「でも一体何を我々は話し合えば良いのですか?」
巫女が即答する。
「それは何なりとお好きにどうぞ」




