アルコール依存症237
「分かりました。早急に我が道連れを選択し、責務を果たすべく陳情致します。先生、御赦免真にありがとうごさいました」と逃げた巫女は婆さんに向かって言った。
逃げた巫女が神妙な顔付きをして婆さんの本を訪れ、丁重に挨拶をしてから、重い口を開きおもむろに言った。
「先生、私を赦免したその真意をお聞かせ下さい?」
婆さんが地蔵菩薩のように柔和に微笑み答える。
「おお、図星じゃな。確かにわしはお前を赦免する事に依ってお前に抗い難い呪いを掛けた。その呪いが何であるのか、お前には分かるのか?」
巫女が答える。
「赦免はさかしらの呪術と言うか呪いであり、その強制力に逆らう事が出来ず、私はここに舞い戻り、身代わりに成らざるを得なくなって、ここにいるのです、先生…」
婆さんが柔和に微笑んだまま答える。
「そうじゃ。あの死刑囚二人がその清い心根を以って身代わりになる事を願い出て、それをわしが了承し、お前を赦免した流れそのものが、この呪術の法力を形作ったわけであり、お前が責務から逃げた分、その呪いの強い縛り、拘束力がお前を容赦なく捕らえたわけじゃ。だからここに舞い戻ったお前は身代わりになるが宿命、必定であり、後はどちらの死刑囚を道連れにするかを、お前自身が選ぶが良かろう」
巫女が解き放たれた顔付きをして、これ以上無い程に慇懃に頭を下げ礼を尽くしてから言った。
「分かりました。早急に我が道連れを選択し、責務を果たすべく陳情致します。先生、御赦免真にありがとうごさいました」




