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アル中の歌  作者: 岩本翔
235/260

アルコール依存症235

そう言って、万感胸に迫る思いをふっ切るように死刑囚は電話を切り、ひとしきりすすり泣いてから、婆さんに向かって頭を下げ一礼した。

手配して貰い、死刑囚が一人娘と電話で最期の会話を交わす。




電話の向こうで幼子が言う。





「パパ、今何処にいるの?」





溢れ出る涙を堪え、死刑囚が優しい口調で答える。





「パパはね、今遠い所にいるんだよ…」





「いつ、会えるの?」




死刑囚が溢れ出る涙を指でそぞろ拭ってから答える。





「お前がね、いい子でいたら、パパきっと近い内に会いに行くよ。だからいい子で待っているんだよ」





「嘘だ。ママはもうパパには会えないと言っているよ、パパ嘘つかないでよ!」




死刑囚が涙を流しながら、泣き笑いの表情を浮かべて言った。





「そんな事は無いよ。いい子でいたら、きっと近い内にパパ会いに行くからさ、待っていてよ」





「嘘だ。いい子でいたってパパはいつもお家にいないじゃない。パパの嘘つき!」




感極まり死刑囚が嗚咽しながら言った。





「もうパパ、お仕事なんだ。だからもう電話切るよ。バイバイ」





そう言って、万感胸に迫る思いをふっ切るように死刑囚は電話を切り、ひとしきりすすり泣いてから、婆さんに向かって頭を下げ一礼した。





「ありがとうごさいました」

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