アルコール依存症233
「分かった。あなた方の提案を受け入れよう。但し身代わりとしての死刑執行を執り行うのは、あなた方の最期の願いを請けた後じゃが、それでも良いか?」と婆さんが言った。
瞼を閉ざし沈思黙考していた婆さんが眼を見開き決断を下した。
「分かった。あなた方の提案を受け入れよう。但し身代わりとしての死刑執行を執り行うのは、あなた方の最期の願いを請けた後じゃが、それでも良いか?」
悪友が首を振り否定する。
「でも、そんな悠長な事をしていたら、こいつの命が危ういですよね、先生?」
婆さんが悪友の言葉を否定する。
「いや、そんな悠長な事はしない。会えば余計辛くなるだろうから、あなた方二人の会いたい者達へ電話連絡を入れて、声を聞くのならば短時間で済むわけじゃ」
死刑囚が強張った顔を綻ばせ喜ぶ。
「それを許してくれるのですか、先生?」
婆さんが言った。
「当然じゃろう。それが行雄を甦らせる呪いとしての試金石になるのじゃから」
悪友と死刑囚が頭を垂れ、同時に婆さんに対して礼を尽くした。
「有り難うございます」
婆さんが恭しく頷き、もう一つの項目を鋭意付け加えた。
「そしてもう一つ。逃げた巫女を赦免し、呪い強化を図るべくふれを回そう…」




