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アル中の歌  作者: 岩本翔
231/260

アルコール依存症231

「いますが、でも自分には娑婆に戻っても生きる道自体が無いし、その者に会えば余計生きるのが辛くなりますから、死んだ方が増しですよね」と死刑囚は涙も見せずに言った。

婆さんが言った。




「素朴な質問じゃが、そうやって身代わりを買って出るからには、あなた方に死ぬ覚悟は出来ておるわけじゃな」




この質問には死刑囚が先に答える。





「覚悟はとっくに出来ています。思い残す事もありません」





続いて悪友が言った。




「俺達はいずれにしろ死刑囚だったし、死ぬ覚悟なんかとっくに出来ているわけですよ。それに俺はこいつを助ける為にここにいるわけだし、こいつを助ける為の死ならば、大いに受け入れられるわけですよ」





目頭を潤ませながら婆さんが言った。





「友情の為にあなた方は死ねると言いたいわけじゃな。しかし二人共死ぬ前に会いたい人はいないのかね?」




死刑囚が答える。





「いますが、でも自分には娑婆に戻っても生きる道自体が無いし、その者に会えば余計生きるのが辛くなりますから、死んだ方が増しですよね」





悪友が死刑囚の意見に賛同し、婆さんを促す。





「自分の気持ちも全く同じですよね。それにぐずぐずしていたら、こいつの命は無いし、だから先生、早く決断をして下さい」

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