アルコール依存症228
「ですから先生ではなく、我々二人が身代わりになってこいつを甦らせれば、こいつは先生の庇護の本老人連合からも護られ、自由の身にもなれるではありませんか、先生?」と悪友は婆さんに向かって言った。
ここでは当然の流れとして老人連合の意識全体は行雄を排除して、巫女二人を温存する方向性に働いていた。
だから捜索隊を含めて老人連合の誰もがその事を口には出さないが、巫女が逃げ延び、行雄に死んで欲しいと望んでいるのだ。
その意識の本に捜索隊の中枢部は巫女のシンパをも放置温存、見て見ぬ振りをして巫女逃亡に加担している事実。
その事実にいち早く気が付いたのは悪友であり、その事柄を伝えるべく婆さんに二人で面会を願い出て鋭意陳述してから、悪友はおもむろに言った。
「ですから逃亡した巫女は金輪際捕まらないと思うのですよ。もっとはっきりと言えば、この状況下で身代わりになるのは自分達二人が相応しいと思うのですが、先生、どうでしょうか?」
死刑囚が出し抜かれ、驚いて悪友を諭した。
「おい、待て、それでは話しが違うではないか?!」
悪友が首を振り言い放った。
「いいからあんたは黙って話しを聞いていろ!」
二人のやり取りを牽制するように婆さんが悪友に尋ねる。
「あんたは何が言いたいのじゃ?」
悪友が答える。
「ですから先生ではなく、我々二人が身代わりになってこいつを甦らせれば、こいつは先生の庇護の本老人連合からも護られ、自由の身にもなれるではありませんか、先生?」




