表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アル中の歌  作者: 岩本翔
217/260

アルコール依存症217

「身代わりとなる者はわしとお前じゃ」と婆さんが老婆を指差し告げた。

婆さんが続ける。





「この者を蘇生させるにしても、ぐずぐずとしてはいられない。身代わりになる者は二人必要だ。当然この局面ではわしが身代わりとなる事は自明の理なのじゃが、もう一人は」と言っておもむろに老婆を指差し「お前だ」と言い放った。





名指しされた老婆が頭を垂れたまま不承不承返事を返す。





「は、はい…」




婆さんが続ける。





「これは事の発端を作った当事者二人の選抜であり、言ってみれば正当な選定と呼べるじゃろう。お互いに身辺整理をした上で、直ぐさま死刑執行とする運びとしよう」



服従していた老婆がここで初めて異議を唱えた。





「しかし先生、私はあくまでも先生を甦らせる為に行った身代わりの儀式であり、それが間違いを犯し、自分が身代わりとなって死刑執行されるのは、どうあっても不本意なのですが…」





婆さんが再度感謝の意を顕し言った。




「甦らせてくれた事には本当に感謝している。だからこそ、わしもその間違いの当事者として責任をとり、この者を甦らせる為に一緒に身代わりとなると言っておるのじゃ。無念じゃろうが掟は従わなければならぬ掟なのじゃ。じゃから身辺整理を急ごうではないか」





老婆が眉をひそめつつ再度頭を垂れ言った。




「かしこまりました…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ