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アルコール依存症211
泣きじゃくり、失意のままに病室に戻った行雄の病状が急変した。
婆さんに別れを告げ、三人が再び病室に連行された直後、泣きじゃくり失意を隠せないままに行雄が不意に悪友に向かって言った。
「何だか俺、眠くなって来たわ」
そのままふらふらとベッドに横たわった途端、行雄の病状が急変し高鼾をかいて昏睡状態に陥った。
それを見て悪友が慌ててナースコールを押し「友達の病状が急変しました!」と告げると、看護師が急遽足早に病室に駆け込んで来た。
死刑囚が唖然として見守る中、悪友が行雄に張り付いた看護師に向かって喚いた。
「これ昏睡状態ですよね、脳卒中じゃありませんか!?」
看護師が行雄の病状を素早く看て取り、インターホンで他の看護師を呼ぶと、大勢の看護師が大挙して病室に詰め掛け、行雄はベッドに横たわったまま点滴を打たれる応急処置が施され、そのまま集中治療室へと搬送されて行った。
そして唖然としている死刑囚に対して、悪友が息を弾ませるように言った。
「多分、あれは脳梗塞だ…」




