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アルコール依存症207
三人の啜り泣き、むせび泣きは止む事なく夜の静寂の中に悲しげに溶け込んで行った。
行雄の最期の嘆願が決まり、再び病室の中に重い沈黙の輪が広がって行った。
その沈黙の中で死刑囚が啜り泣きをし始め、その啜り泣きが連鎖的に行雄や悪友にも伝染して行った。
言葉が失せた状態のままベッドに横たわっている三人がひたすら啜り泣き、むせび泣く。
ひとしきりむせび泣いた後行雄が同じように泣いている二人に向かって謝罪した。
「す、すまない。俺なんかの為にこんな状況に追い込まれてしまって、ほ、本当に心からお詫びしたい」
悪友がすすり泣きながら答える。
「お、お前のせいでは無いさ。これは全て定め、運命なのだから、甘んじて受け入れるしか無いのさ…」
その言葉を聞いて、死刑囚が再度むせび泣き、三人の啜り泣きは止む事なく夜の静寂の中に悲しげに溶け込んで行った。




