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アルコール依存症2
「お前は元々誰よりも優しいのだし、何やけを起こしているのだ?」と悪友は行雄に言った。
ため息をつき悪友が言った。
「強がって空元気を出したってお前は糖尿病じゃないか。糖尿病のお前がそんな無茶な酒の飲み方していたら、直ぐに死んじまうぞ。それでもいいのか?」
鼻で笑い行雄が答える。
「酒を飲まずにいたって俺はどうせ死ぬわけだし。だったら好きな酒を飲んで華々しく死んだ方が増しさ。相棒よ、だから鹿殺しに行くべえよ」
悪友が行雄を睨みつけ言った。
「強がるなよ。お前は元々誰よりも優しいのだし、何やけを起こしているのだ?」
行雄が反論する。
「俺は強がってなんかいない。残念ながらそれはお前の眼鏡違いというものだろう。違うのか?」
悪友が真っすぐに行雄を見詰め言った。
「酒をやめて、結婚だって一度はしてみるべきだろう。一度同棲して子供をおろしたからと言ってやけを起こすなよ、相棒」
行雄が血走った眼差しをして悪友を睨み据えおもむろに言い放った。
「その事に触れたらお前、殺すぞ!」