表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アル中の歌  作者: 岩本翔
196/260

アルコール依存症196

「アル中が昂じての脳卒中だ」と悪友の質問に老婆は答えた。

そう告げて看護師を引き連れ立ち去ろうと踵を返した老婆に悪友が食い下がる。





「こいつの愛しの婆さんを甦らせると言う事は、婆さんは何かしらの病気なのですか?」




老婆が向き直り、悪友を覗き込むように見詰め尋ねた。




「そんな事を聞いて、お前は何がしたいのだ?」




悪友が機転を利かせて言った。




「こいつが最期の嘆願を決める時に役立つと思いまして…」




老婆が悪友から視線を外し、一点を見詰める眼差しをしてから、おもむろに答える。




「アル中が昂じての脳卒中だ」





瞬間的に行雄が涙ぐみ尋ねる。





「ば、婆さんは、い、意識不明の重体なのですか?」





老婆が答える。





「いや、意識はある。だが半身麻痺で歩けず、痴呆状態になってしまっているから正気を甦らせるのだ」





悪友が再度畳み掛ける。




「その病状を、こいつを死刑にしてどうやって治すのですか」





老婆が鼻を鳴らし却下するように言い放った。




「以上。教えるのはここまでだ。後はその者の最期の嘆願を考えて全員待機していろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ