アルコール依存症195
「俺達は一人づつ死刑執行されるのか、それとも全員一緒に執行されるのかどちらなのですか?」と悪友は看護師と一緒に現れた老婆に尋ねた。
死刑囚の最期の嘆願が通り、背の高い看護師と一緒に老婆が現れ、三人に向かって言い放った。
「私に何の用だ?」
瞬時たじろいだ悪友が気を取り直し尋ねる。
「俺達の死刑執行はいつ成されるのですか?」
老婆が鷹揚な態度を取りつつ答える。
「今準備を進めているから、もう少し待っていろ」
悪友が質問を続ける。
「俺達は一人づつ死刑執行されるのか、それとも全員一緒に執行されるのかどちらなのですか?」
鋭い目付きをして老婆が答える。
「それは言えない」
悪友が訝る。
「何故言えないのですか?」
「言えないから、言えないのだ」
悪友がすかさず畳み掛ける。
「それは死刑執行に施す呪術に支障を来たすからですか?」
冷静そのものの口調で老婆が答える。
「それも言えない」
悪友が怯まず続ける。
「死刑執行はどんな方法で行われるのですか?」
老婆が口元に笑みを湛えた後、死刑囚を指差し言った。
「それは後のお楽しみだ。そしてお前の最期の嘆願はこれで聞き入れたから、終了となったわけだ」




