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アル中の歌  作者: 岩本翔
193/260

アルコール依存症193

「俺と同じような爺さん婆さんがいるならば、何と情けない奴だろうが、俺もそいつの為ならば死ねるかもしれないな…」と悪友はしんみりと言った。

死刑囚が言った。




「婆さんが仮に寂しさ苦にしての自殺未遂ならば、女のアル中は男より進行速度が早いからな。どんどん心と身体を蝕まれてた末、思い余ったのだろうな…」




間を置き悪友が言った。





「意識不明の重体で、それを医療で治せないからこそ、同じ精神状態と言うか、アル中のこいつを死刑にして婆さんを甦らせる形が鋭意取られるならば、俺達の死刑も同じような心と言うか、精神状態の婆さんや爺さんを甦らせる為のものなのだろうな…」




行雄が吃りつつ言った。





「ア、アル中の気持ちは俺には分かるからな、そ、それは多分憶測推理ではないと思う…」





死刑囚がやる瀬ない表情を浮かべ言った。




「俺と同じような境遇と精神状態の爺さんや婆さんなどこの世にいるのか…」




悪友が瞬きを繰り返してから言った。





「世界には同じ顔をした人間が七人はいると言うしな。いてもおかしくは無いだろう…」




死刑囚がやる瀬なく泣き笑いの表情を浮かべてから言った。





「俺と同じような人間ならば同病相憐れむで、憐れそのものだし、俺はそいつの為ならば死んでもいいかな…」





悪友が同意して言った。





「俺と同じような爺さん婆さんがいるならば、何と情けない奴だろうが、俺もそいつの為ならば死ねるかもしれないな…」

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