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アル中の歌  作者: 岩本翔
192/260

アルコール依存症192

「し、死ぬのは恐いさ。でもそれ以上に俺は婆さんを愛しているから、助けたいのさ」と と行雄は言った。

行雄が言った。





「ならば病院で俺が見たのはやはり俺と同じように禁断症状に苦しんでいる婆さんだったのか?」




冷静な口調で悪友が言った。




「それは、この推測が当たっていればの話しだと思う」




行雄が虚ろな眼を細め反論する。





「だ、だが、お前の根も葉も無い憶測推理よりは、この推理は遠からず当たっていると俺は思う」




悪友が自嘲するように苦笑いしてから言った。





「確かにこの推理は、俺の飛躍し過ぎた根も葉も無い憶測推理に比べ、看守と一緒に来た婆さんの、お前の婆さんを甦らせるという言葉にも則っており、そしてお前のアル中、婆さんのアル中を織り交ぜて考えると、当たっている可能性は高いと思うが、しかし推理には絶対性は無いのではないかと言うのが俺の意見だ」




悪友の意見を聞いて行雄が苛立たしく言い放った。





「し、しのごの小難しい理屈を並べ立てても仕方ないだろう。俺はとにかく婆さんの為ならば死んでも悔いは無いと言っているのだから」




死刑囚が感心したように口を尖らせた後おもむろに言った。




「あんた死ぬのが恐くはないのか?」





行雄が虚ろな眼で遠くを見詰める目付きをしてから言った。





「し、死ぬのは恐いさ。でもそれ以上に俺は婆さんを愛しているから、助けたいのさ」

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