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アルコール依存症191
「子供にも会えない寂しさ。あんたにも会えない寂しさから自暴自棄になりアル中になって自殺したくなる気持ちは、俺には大いに分かるな…」と死刑囚は言った。
悪友がしんみりとした口調で言った。
「婆さん、子供に会えない寂しさとお前に会えない寂しさから、アルコール依存症に陥り、その孤独感に耐えられず、自殺未遂したのかもしれないな…」
行雄が驚きの表情を浮かべ尋ねる。
「だからこその植物人間か?」
悪友が自分を嘲るように微笑み首を振り言った。
「いや、俺の推理はあくまでも憶測推理だからな…」
行雄がかぶりを振り詰め寄るように言った。
「い、いや、お前のその推理は憶測推理ではなく遠からず当たっていると思う。寂しさからアル中になって生活破綻を起こして精神を病み、手首切って自殺する者の気持ちは俺にも少なからず分かるからな」
死刑囚が同感するようにしきりに頷き言った。
「子供にも会えない寂しさ。あんたにも会えない寂しさから自暴自棄になりアル中になって自殺したくなる気持ちは、俺には大いに分かるな…」




