表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アル中の歌  作者: 岩本翔
19/260

アルコール依存症19

「この点滴が終わったら俺は死ぬのか、母さん?」と行雄は呟いた。

悪友の一、二、三という声が聞こえる筈の無い点滴の落ちる音と重なり、その音が寂しげに行雄の耳を打つ。





その聞こえる筈の無い点滴の音は優しい母の温もりの声に似て、行雄はベッドの上で点滴が滴るように涙ぐみ動けないまま言った。





「母さん、俺は死ぬのか?」





点滴の音なき音の母の声が悲しげに言った。




「行雄死なないで、行雄死なないで、行雄死なないで…」





行雄は涙ぐんでいる瞼を閉ざし言った。





「この点滴が終わったら俺は死ぬのか、母さん?」





母の声が点滴の音なき音を行雄の心臓の動悸の音に変え、その音が静かに己の終焉を迎える時と重なり、行雄は再度言った。





「母さん、俺死にたくないよ。母さん…」





その声を悪友の怒鳴り声が遮った。





「おい、起きろ、鹿を轢いたぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ