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アル中の歌  作者: 岩本翔
189/260

アルコール依存症189

「子供は二人いると言っていたな。でも親権取られて一人ぼっちになり、一時精神錯乱状態だったらしい」と行雄はぼんやりとした眼を伏せながら言った。

死刑囚が尋ねる。





「それじゃ、あんたは婆さんの飲み友達でもあったわけだ?」



行雄が答える。





「いや、当然婆さんは俺に大酒は控えろと言っていた口だから、俺と一緒に酒はたしなむ程度にしか飲まなかったしな。だから酒飲み友達と呼べるかどうかは、お、俺には分からないけれどもな」




悪友が苦笑してから言った。





「酒飲みの気持ちは酒飲みしか分からないからな。酒が取り持つ縁であった事は間違いないだろう?」





行雄が虚ろな眼を伏せて頷き答える。





「まあ、そうだな。さ、寂しい者同士、酒を仲介にして絆が深まったのは間違いない事実だと思う」





死刑囚が尋ねる。





「婆さんは当然離婚歴とかは有っただろう」




行雄が瞼を伏せたまま答える。





「ああ、そう言えばばついちだとは言っていたな…」





悪友が尋ねる。





「子供はいなかったのか?」





遠い過去を思い出す目付きをしてから、行雄がおもむろに答える。




「子供は二人いると言っていたな。でも親権取られて一人ぼっちになり、一時精神錯乱状態だったらしい」





その言葉を聞いて思わず死刑囚が涙ぐみ言った。





「そんな話しならば俺も大いに同感出来るな。身につまされる…」

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