187/260
アルコール依存症186
「俺の助命嘆願をする事が、婆さんの甦る事に賭けるのか?」と行雄が言った。
死刑囚が行雄に尋ねる。
「でももしあんたの婆さんが意気軒昂ならば、あんたの助命嘆願はしてくれるのではないのか?」
ぼんやりととした行雄がゆっくりと顎を引き相槌を打ってから答える。
「それは間違いなくそうなると思う。婆さんは俺の事を慕ってくれているからな…」
思わず涙ぐみつつ悪友が言った。
「ならばお前はそれに賭けるしか道は無いではないか?」
行雄が苦笑いしてから言った。
「俺の助命嘆願をする事が、婆さんの甦る事に賭けるのか?」
涙ぐみつつ悪友も苦笑いしてから答える。
「そうだ。俺の根も葉も無い憶測推理よりはお前の賭けには愛があるから説得力があるしな。賭けてみる価値は大いにあるだろう」
行雄が又泣き笑いの表情を浮かべ言った。
「分かった」




