表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アル中の歌  作者: 岩本翔
186/260

アルコール依存症186

「ど、どうあっても脱獄不可能ならば、婆さんを助ける最後の手段として、俺の命で購う事は仕方ないではないか…」と行雄は言った。

悪友が物憂い感じで瞼を伏せ尋ねる。




「その最期の嘆願を言った後、お前は婆さんを甦らせる為ならば、死んでもいいのか?」




ベッドに座ったまま行雄が涙ぐみ答える。





「逆に言えば、それが俺の本来の夢と希望じゃないか」





悪友が瞼を伏せたまま言った。





「しかし命有っての物種だろう。お前は愛しい婆さんと添い遂げたくはないのか?」




行雄が涙を拭い答える。





「ど、どうあっても脱獄不可能ならば、婆さんを助ける最後の手段として、俺の命で購う事は仕方ないではないか…」





悪友が瞼を伏せたまま死刑囚を一瞥してから言った。





「お前が老人連合の奴らに最期の嘆願をした時点で、何かしら脱獄への突破口が見出だせる可能性はあると俺は思うのだが…」





行雄がかぶりを振り言った。





「逆に言えば、それは 婆さんが植物人間ではなく、まともな意識を持っている場合だろう。今までの推移から見てその可能性は殆ど無いと俺は思うのだ。それならば腹を括るしか無いじゃないか」





悪友が唸りを一声上げてから尋ねる。





「一縷の望みも捨てるのか?」





行雄が恭しく相槌を打ち答える。





「ここまで来たら仕方ないではないか…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ