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アル中の歌  作者: 岩本翔
173/260

アルコール依存症173

「ここには甦らせるべき植物人間の老婆はいないのですか?」と悪友は行雄を手当てした老婆看護師に尋ねた。

暴れる行雄を大勢の老人看守が取り押さえる形で、三人は所定通り目隠しをされ護送車で移動、護送車から降りてエレベーターに乗り最上階の鉄格子を施された病室へと連行された。




程なく白衣を着た老婆看護師二人が現れ、手慣れた手つきで禁断症状でのたうちまわる行雄に、二人がかりで有無を言わせず注射を打つと、行雄はそのまま深い眠りについてしまい、全身に負った怪我を素早く処置手当てを施し、注射を打った看護師が悪友に向かって言い放った。





「眠りから覚めたり、何か急変したらナースコールして頂戴」





悪友がすかさず尋ねる。





「ここは総合病院ですか?」




注射を打った看護師が冷たい冷徹な口調で答える。





「あなた方は囚人なのだから、ここは所謂警察病院よ」




落胆しつつ死刑囚が尋ねる。





「自分達はまたここで死刑執行をひたすら待つ身なのですか?」





注射を打った背の高い看護師が再度答える。





「それは私達には分からないわ」




悪友が遠回しに言わず尋ねたい用件を単刀直入に尋ねる。





「ここには甦らせるべき植物人間の老婆はいないのですか?」





この問い掛けに二人の看護師が看守と同じように双眸の瞳を微かに左右に揺らすような仕種をしてから、控え目な背の低い老婆看護師が答えた。





「そんな人はいないわ」

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